昨年、クリスマス島に行った時だが、ステンレスジグのファンキーロボットに現地で「ブラックウルア」と呼ばれる黒いGTの大型が喰らい付いた。この時にはジギングでキハダマグロや数多くのGTを釣り、それは楽しい釣行だったが、ただひとつだけ心残りもあった。
それは、たった一日しかキャステングゲームをしなかったことだ。そして今回は、そのクリスマス島にキャステング用とも云える鉄ジグ『スイムライダー』65グラムと、更に数年間のテストを繰り返し暖め続けてきたオールハンドメイドのステンレスペンシル『ホンキートンク』を持ってキャステングメインで釣行することになったのだ。
このクリスマス島は、何しろ遠い。しかし、距離的にはキリバス共和国であり、ハワイとメラネシアの国々の中間に位置し、赤道直下で日付変更線に最も近い島なので、アフリカや南米ほどではない。しかし、今回も私の場合は3月23日に上京し、1泊してから翌24日の夕方の便でフィジーに飛び(機内泊)、フィジーのホテルで休息後の、更にその夕方にクリスマス島に向かうもので、到着するのは26日になってしまうのだ。
そして、3月27日から6日間の釣りである。時間は充分あるのでガツガツしたものではないが、63歳の私に、この赤道直下でのキャステングゲームは多少過酷でもある。しかも、同行したのが私のクラブメンバーで最年長65歳の村本さんと、小学5年のときから我家(パパズイン)でジギングをやっているが、中学生になったばかりの大誠君13歳だ。
まさに、ロートル2人に少年の取り合わせで、それこそ珍道中である。
そして、この島での釣りは狭く小型のカヌーなので、多少の心配もあって彼らを見守りながらの釣りだ。どちらかと云うと、写真を撮りながら、その合間にキャステングするような按配で、楽なようでも忙しいようでもある。
ただ、今回も驚いたのは、2日目の早朝に軽い気持ちで村本さんと一緒に港に行き(港といってもカヌーを係留する小さなものだ)、パームスのサーフスターの10ftにスイムライダー65グラムを装着し、キャスト一発である。いきなり10キロオーバーのGTが陸から出てしまう。それもPE2号に60ポンドのリーダーであるから、そのやり取りは実に楽しい。
ランデングネットがないので、地元の少年が係留してあるカヌーに腹ばいになってエラに手を入れて取り込んでくれた。その後、村本さんも6キロクラスをランディングしたが、これ以上やってボートゲームの運を使い果たすのも何なので、ロッジに帰ってGTタックルの準備に取り掛かる。そして、いよいよその日からキャステングゲームの開始である。
最初のジギングポイントでは、大誠君が4~8キロのグルーパーやレインボーランナーを連発する。その中で、村本さんに大型のキハダマグロが連続でヒット。しかし、30~40キロクラスは尋常では浮き上がらない。数回のラインの出し入れで楽に上るようになるが、それはほとんどが大型のイタチザメに食われ、中には頭だけで15キロぐらいだから、これは40キロ近いだろうか。
私は合間を見て『ホンキートンク』でキャステングをすると、嘘みたいに20キロクラスのGTが食いついてくる。ガイドのイングリスの話では、この時期のGTは小さいらしいが、どうもトップゲームだとあの憎たらしいサメは食わないらしい。しかし、前回のような40キロを超えるものは釣れてこない。
私がスイムライダーの180グラムでジギングを開始し、30キロクラスのキハダマグロを食わせる。サメが心配だが、なにしろロッドはニューグランドスパイの52HのPE6号、リーダーは220ポンドだから、止めてからランデングまでのポンピングは力勝負で2分とかからない。おかげで尻尾を僅かにかじられた程度でランデングできた。
こんな場所では、どんな大型が潜んでいるかどうか判らない。強靭なタックルに太いラインで力勝負が基本で、数を望んだ釣りではランデングの確率が下がる。サメが多いのと中型でもGTが釣れることから、翌日からは皆でキャステングゲームを始めることにした。
しかし、村本さんはもちろん大誠君もGTゲームは始めてだ。それでも彼らは狭いカヌーの前後に陣取り風下にキャストを繰り返す。この辺りはガイドのイングリスが腕の見せ所で、それは飛距離が中々望めない中でも20キロクラスがポツポツと釣れる。
無理な釣りをしていないので、彼らが休んでいる時は私がキャストすると、必ずといって良いぐらい『ホンキートンク』に喰らい付く。90グラムだが、その重量のわりに飛距離が出るのが良いのだろう。彼らも、この『ホンキートンク』のオレンジカラーに替えてそのヒット率がアップした。
大誠君は一日だけ中休みしたが、それにしても2人共にキャステングを繰り返すほどに見違えるように飛距離がでるようになり、それがヒット率の向上に繋がってくる。結局は総数でGTを40尾ほどは数えたであろうか、小さいと言っても2人とも30キロクラスオーバーを釣ったので、始めてのGTゲームとしは上出来だったろう。
最後に(これはおまけだが)、イングリスが60キロオーバーと叫ぶほどの超大型が私にヒットし、7分のファイトでランデングした。それがPE8号に220ポンドで、パームスのプロトだが、豪腕のGTロッドであるから問題あるはずがない。しかし、ランデングには3人で持ち上げても私のギャフが伸びてしまうほどで、それでも何とか持ち抱えて、村本さんが写真を撮ってリリースした。
今回のクリスマス島はサメの回遊もあって、特に『ホンキートンク』でのGTゲームが中心だった。しかし、キハダマグロやグルーパーの大型は特に濃く、まだまだ可能性は大きい。それにしても、65歳の村本さんに63歳の私、そして13歳の大誠君と云う、3人の珍道中だったが、『スイムライダー』『ホンキートンク』と云う2つのルアーが、より楽しい釣りに導いてくれた。
パパ大津留